8/22 二木先生 読了

なんとか社の新人賞作品。帯にいろんな絶賛の言葉あり、ちょっと他とは違った性格を持つ高校生とロリコンを隠して生活している教師の話と、学校ものなので興味をひいて購入。

面白かった。ひょんなことからこの学生が先生のロリコンを知り、それをネタに先生を脅すのだが、先生はさすが先生と思う様にたくみに学生を指導して行く。もちろん自分の進退も覚悟の上で。

この学生は、クラスの全員がAと言う事象を選ぶ質問に対して、Bと言う事象をひねくれではなく、理論的に選んでしまう性格、要するに何となく全体に合わせるのでなく、こう思ったらこう、と確固たる意志を持って主張してしまう。だから、誰も好んで会話したいとは思わないし、本人もそれを悪い事とは思っていない。が、一方では、今後誰とも協調しないまま生きていかれるのか、妥協できるのかとか、大きな悩みも抱えている。

方や先生は、学校では真面目な誰にでも好かれるような性格で過ごしているが、性格が本当にロリコンで、漫画家として雑誌に掲載していると言う事実があり、本心を隠しながら教壇に立っている事をよく思っていない節もありながら割り切って生活している。

この学生が、先生を脅すのであるが、学生にしては頭が良く巧みな脅しをし、それに対して先生は巧みに自分は変態って事を肯定しながらも、それがなぜ悪いとか、脅す目的とか尋ねたりして、そのやり取りがヒヤヒヤしながらもおもしろい攻防でページを捲るのも早くなった。

最終的に先生の性癖が、脅している学生が意図しない形で、クラス中に一旦バレるのであるが、学生が上手い切り返しで別方向に変換させる件は面白かったし、学生の成長を垣間見た先生の一瞬の表情の記述は感動した。

文字も大きく、登場人物も少ないので、大変読みやすかった。

最後に知ったのだが、女性作家の作品だったとは、恐れ入った。