3/10 文楽 人形浄瑠璃 鑑賞

街のポスターで瀬戸田人形浄瑠璃が来るげな。なんでも瀬戸田出身のお師匠さんの凱旋公演とか。それだからかわからないがチケット代が格安3千円。これは観にいかねばと公演一週間前位にチケット購入。後数席しか残ってなかった、当日券にしないで良かったと一安心。

さて瀬戸田。一人で行くのは初めてで駅前から船で20分。公演は14時からなので、瀬戸田のどこかで食べるとこあるだろうと何も調べず上陸。耕三寺までの仲店通りは閑散としていて、食べるとこ無いかなぁと歩いていると、古民家の玄関にちっちゃい字で「あおり」と記された看板、玄関前に情報量の少ない立て看板、よく見ないと気付かないイカの食堂を発見。メニューはイカ定食とイカフライ丼の2つのみで定食は売り切れ次第だって。でもよく見ると定食が2千円弱、丼が千五百円ぐらいと値がはるではないか。イカは好きだけど、高いなぁ、でもこの先店無さそうだなぁと逡巡して、意を決して店へ。中は古民家風でけっこう広い割には座席数が少ない。中で待っている客が二組。店の人に、予約もあるのでちょっと待ってもらうけど良いかと問われ、時間もまだあるので待つことにした。定食後数食だけとどうするかと聞かれ、売り切れになくらいのものなので期待を持って定食にする。待つこと30分くらいでカウンター席に移動。それから数分で品物配膳。ご飯と味噌汁、イカ一杯程度の刺身と小鉢でイカの天ぷら。面白いのが、生卵が付いていて、特製タレと混ぜてイカに付けて食べる様になっていて、余ったタレは後で卵ご飯にするらしい。なるほど考えたねー。と思いつつ、イカ刺身を一切れ。ウマイッ。こりゃいけると一口食べるたび独り言を言っていた。天ぷらもウマイ。最後の卵かけご飯もウマイ。金額忘れるくらい大満足だった。瀬戸田の「あおり」。今度誰かに紹介しよう。

腹もくちくなったので文楽の会場へ向かう。歩いて10分以内の所。こんな所に会場あるのかなぁって感じの田舎町にでんと構えた文化会館を見つける。会場200人位のキャパ。なので一番後ろの席でもけっこう舞台が近い。

人形浄瑠璃って人形を人が操って芝居をするのだが、3人1組で、操るパートが決まっており主遣い(おもづかい)、左遣い、足遣い、それぞれ、かしらと右手、左手、足を動かすのだそうだ。人形の大きさが4、50㎝なので、当然操る人はハッキリ見えながら操作するのである。主遣い以外は黒子の装束、主遣いのみ派手な和服。なので、操る人が丸見え。音は確か三味線のみで、語り部が全てのセリフ、状況を声を変えながら進めていく。

演目は2本あって、1本目がヤジキタみたいな感じのやつで、操る人達が煩わしく、頻繁に足音をならすのでうるさく感じ、人形浄瑠璃ってただ伝統を重んじているだけの文化で、よっぽどサンダーバードやひとみ座の方が面白く凄いと思った。

が、である。2本目の母娘の再会を演じた題目、これほど素晴らしいものはないと、これが伝統芸術たるものだと、モーレツに感動した。1本目に感じた3人の操者は全く気にならず、足音も1本目と同じぐらい鳴っているのに、これがバックグランドミュージックに聞こえてくるのである。母役はずっと舞台にでっぱなして、これがまた、人間が演じるよりもリアルな動き、いや表情といった方が良いかも、とにかく目を奪われ、かつ感情が伝わり、感動して涙したのである。伝統文芸恐るべしである。これを3千円で鑑賞できた事、瀬戸田出身の家元さんに感謝です。名前を覚えてないのは凄い失礼だけど。

この日はすこぶるついていた日だった。