8/14  ミス・サイゴン 鑑賞

久々の帝国劇場。やっぱり劇場に入るだけでテンション上が上がる。50分前に入ったのに、ロビーうろうろして、グッズ買って、10分前に席着いて、オケのチューニング聞きながら特設の緞帳見ているとあっという間に開演。

ミュージカルなので歌が聞き取りにくい所が多々あると思い、事前にストーリーを予習しておいてよかった。予習してなかったら、感動が半減していた所だった。

ストーリーを重く言うと、ベトナム戦争で間接的に被害を受けた人の話。これをミュージカルにするなんて誰が考えたんだろう。サイゴンで孤児になった少女が売春宿に入りそこでアメリカの兵士と恋に落ち、戦争終了後兵士はアメリカに帰り結婚、少女は兵士の子を産み一人で育て、3年後再会して、子供だけでもアメリカにと思い、自分が居るとその思いが遂げられないため自殺する、と言う流れ。

基本的にこの少女と兵士の恋物語で話が進み、前半はどっちかというと、ストーリー的には三文恋愛劇みたいに感じてちょっと重いかなって思ったが、後半は迫力あり涙ありで、特にヘリコプターが出るシーン、少女と兵士が意に反して離れ離れになるシーンなのだが、圧巻。アメリカ軍の基地とベトナムの敷地を隔てる壁と柵と門を巧みに操りながらの別れのシーンは秀逸だった。

歌唱力のある人達の歌はそれだけで感動し、それがストーリーと重なると自然に涙が出てくるものだ、と言うことで、一人で涙流していた。

後、場面場面の転換も見事で、帝国劇場じゃないと作れない装置じゃないかと思っているのだが、他の都市ではどうしてるんだろう、同じ様に演ってるのだろうか。

色んな意味で感動したのでだいまんぞくではあるが、やはりレミゼには敵わないなあ。

8/8 カラスの親指 読了

ある詐欺師が、同じ様な境遇の人達と出会い、その仲間達といっしょに、敵対する組織に対して詐欺の大勝負に出ると言う話。こう書くととてつもなくつまんなそうだが、さにあらず。

このパーティーの面々、皆んな悪徳金融業者のせいで家庭を失い、落ちぶれていった先が、詐欺師であったり泥棒であったり、スリであったりするのだが、それぞれの生い立ちを簡潔に丁寧に書かれていて、そのどれもがその辺にありそうな、想像できる範囲の内容で経験なくても理解しやすいもので、それだけでも、悪徳金融ってこう言うことするのかと勉強にもなった。

主人公の周りに人が集まってくるのだが、もので^物語的で、普通な感じで読んでいくのだが、最後に大どんでん返しで、そう来たか、って感心してしまった。よくよく考えると、前半の要所要所でその布石、ここでこんな描写いるの?とか、が置かれていたことに気付かされて、やられたっとも思った。

道尾さんの小説以前にも読んだことがあり、もっとシリアスなイメージがあったのだが、この小説はなんか登場人物たちが、犯罪働いているのに憎めなかったり、過去に悲惨な目に遭っているのに陽気な感じがしたりした。違い人が書いている様にも感じた。アナグラム的な所は同じだなとも思った。前回は各章の末尾をとると「花鳥風月」ってなっていたのに気づかなかったが、今回登場人物がアナグラムの事を語っているのに、要所要所にあるアナグラムに全く気づかなかった。これもやられたって思った。

「手の指」の言い回し、この話は周知のことなのかどうなのかわからないが、面白かった。この内容が道尾さんが考えた事だったら天才だと思う。

以下ネタバレ。



今まで小説読んできて、主人公が最終的に失敗して終わったのは始めてで、意外だった。それでいてスッキリもするのだからなおさらである。

8/2  熱源 読了

直木賞受賞作。樺太=サハリンに住むアイヌの人と、ロシアに呑み込まれたポーランドの遺民である人の一生を描いた、ある意味大河小説。両者共、理由は違えど、自分の国を失って、民族の衰退、消滅を危惧しつつ、抗ったり順応したり苦悩して生きていく内容。

時は、日本の明治維新後から昭和初期、ポーランドはロシアに占領され、母国語が使用禁止になった時代。メインの舞台となるのは樺太で、戦争等の影響で日本になったりロシアになったりで、アイヌ等、土着の民族達は自分達の風習に加え、異なった文化の下で共存を余儀なくされていた。

共存と言えば聞こえが良いが、アイヌたち土着民族の人々は、両国から、未開の人、土人と蔑まれ、それぞれの国にいいように扱われていた。

それらの国々に対抗する為には、文明化=教育が必要という事で、アイヌ自ら学校の設立を進めていく。しかし、文明化する事は、すなわち民族としての誇りや文化が薄れて、古から伝わっている風習などが忘れられて行くのでは無いか、アイヌアイヌで亡くなるのでは無いかと言う疑問を持ち苦悩しながらも自分達の未来を探りながら生活している。

一方、ポーランド遺民の人は、ロシア統治下の皇帝暗殺の濡れ衣で、想像もつかないような拷問を受けた後、強制労働の為サハリンに移送され奴隷のような生活を余儀なくされ、そこで、アイヌとは別の土着民族と接触し、その生き様に触発されるのだが、ここでもまた、ロシアにいいようにされている民族には教育が必要とし、学校の設立に携わっていく。当然母国復興が生きがいではあるのだが、土着民族の生き方や考え方、色んなところで起こる戦争で、武力による復興に本当に意味があるのだろうかという疑問を持ち始める。

この二人を中心に、友情、家族愛が繰り広げられつつ、自分達の独自の文化をいかに引き継ぎいかに未来に残すべきなのかを問うていると感じた。

アイヌイヨマンテ(熊祭り)の状況とか、樺太の極寒の生活とか、肌で感じられるような文章で、自然の描写もくどくなく、それでいてわかりやすい表現で語られており、読みやすい本だった。

最初の方は生い立ちとかだったのでちょっとかったるく感じたが、後半の人の繋がりを読むとそれも伏線だったんだと気づいた。先代の思いが意図せず子孫につながる様は感動ものであった。

学校を設立する時にアイヌの人が、何で学校が必要なのかを問答した時の会話、「なんで地理なんか必要なんだ」との問いの答えは優れもので心が痺れてしまった。

「知る世界の広さは、人生の可能性の広さだ。」

ただ、やはりカタカナの人名は自分は苦手なので読むのに苦労した。

とは言いながら、さすが直木賞作品、素晴らしい、久しぶりに読み応えのある小説を読んだ感あり。

 

直木賞の直木って誰?って初めて疑問に思ったので調べてみた。直木三十五(サンジュウゴ)っていう作家だそうだ。代表作は知っているものは無かった。いつか読んでみよう。ちなみに三十五は年齢からとったペンネームなんだそうだ。

7/21 映画 KINGDOM Ⅱ 鑑賞

一作目の衝撃が強すぎて、今回は期待度が大きすぎたせいか、イマイチだった。

前回の感想で懸念していた羌瘣、清野さん、頑張っていたと思うが、ちょっ残念だった。役者がと言うよりは、演出が、見せ方が良くなかったと思う。もっと不気味さがあった方が良いと思うし、強さの秘密などもっと明確にした方が良いと思うし、格闘などは、スローと早送りと通常で速さを表しているのだろうが、マッチして無かったし、信との強さの違いの区別をもっとすべきだったと思う。加えて、あまりにも人間的過ぎた。残念!

橋本さんの河了貂、漫画読んで、前作観てるから良かったが、今回初めて観た人は、なんじゃコリャァ、って感じで、正直観てて恥ずかしかった。河了貂でなく、変な格好している橋本環奈さんが出てる、って感じ。これも演出のせいで、橋本さんがかわいそうと思った。

将軍達はお見事。漫画の絵的なデフォルメを再現しながら、役者がそれぞれの個性で更に深くして、楽しんで芝居してた感あり、好ましかった。

ほんの一瞬で、存在感があったのは呂不韋佐藤浩市さん。佐藤さんは、漫画の呂不韋と映像的に全然違うのでどうなるのかと思っていたが、出てきた瞬間から、呂不韋がそこに居た、呂不韋が加藤さんに近づいたって感じ。

7/20 事件 読了

宮部みゆきさんが巻頭に一文書いているとの事で購入。裁判の小説なのだが、ミステリやサスペンスと違う、裁判てこんな風に進んで、判事、検察、弁護士はこんな風に考えていると言った内容。巻頭の宮部さんの言葉には、小説家になる前は法律関係の仕事をしていたそうだが、その道に進むキッカケとなったのがこの小説だそうだ。

全体的に言うとやっぱりかったるかった。冒頭から事件のあらましがわかっており、被告人も自供しており、その判決が言い渡されるまでの裁判の状況を隅々まで描いてあり、確かに、判事や検察官や弁護士達の弁論のやり取りの所は迫力がありスルスルと読んでいけるのだが、その間の裁判の手続きや裁判の歴史の説明が進まない進まない。必要な内容であるのはわかるのだが、そんな事はどうでも良いからこの先どうなるのかを早く教えてくれって思う感じ。会話と会話の間の説明部分で何度寝たことか、何度繰り返し読んだことか。

とは言え、裁判におけるそれぞれの人達の役割やらそれぞれの考え方などキチンと描かれてあるので、朧げながら理解はできるようになっていたのだろう。

裁判が始まるまでは弁護士は被告人と会えないとか、検察官が集めた証拠を裁判の中で弁護士が認めるかどうかを判断した上で、認められたものだけを使って事実を紐解いていく、その際、証人を呼んで尋問していき、更に事実を明らかにしていく。判事はそれまで、報道すら目を通してはいけないのだそうで、裁判の中の明らかになっていく事実を総合して判決を決めて言い渡すのだそうだ。

面白かったのは、判事はそんな風に事実を聞いて有罪無罪、刑期などを当てはめていくのが仕事であるのに対して、検察官と弁護士の間には、検察官のたてた見立てに対して弁護士はどう崩していくか、検察官はどう堅守するか、勝負、いわゆる勝ち負けがあるのだそうだ。その為には、事実を明らかにしなかったり、事実をいろんな解釈で取り合ったり、この辺が腕の見せ所なんだそうだ。被告人の立場ってあんまり考えてないような事も書いてあった。

確かに、人間が人間を裁くのであるので、感情が入るのは致し方ないとは思う。

解説を読むと、この作家は推理小説を書く人みたいで、この本も推理小説として扱われているらしい。そう言われればそうなのかなぁとも思うが、自分には裁判劇としか捉えられなかった。

7/4 こどもの一生 読了

中島らもさんってなんか聞いたことのある作家なので、調べてみたが、聞いたことのある作品は見当たらず、劇団持ってて脚本でも有名な様だが知っている作品は無かった。その上、女性だとばかり思っていた。

さてこの小説だが、面白さがイマイチわからなく結構読むのに疲れた。ひらがなが多かったからかも。

ある島の精神病院に5人の患者が集まり、医者と看護婦、灯台守の計8人が登場人物。精神病院の患者と言っても、過去にマイナスの記憶があり苦労して来た人達なのだが、至って普通の人の様に書いているので、なんでこの人達が精神病院に来たのかの背景が最後まで解らず。

前半、この患者達が、治療として薬と催眠で10歳まで遡って、しがらみのなくなったところで子ども達だけでコミュニティを作っていく様が面白おかしく描かれている。ちなみに、その際の会話がほぼひらがな。最後の3分の1は殺戮のサスペンスに急展開し、ミステリアスに進むのだが、最終的にまあそうだろうなと思う様な結末だった。何が言いたかったのかよくわからなかった。ただ、10歳に遡った患者達の会話でいろんな価値観を感じさせてくれら所は良かったと感じた。

6/29 砂の女 読了

読み応えあった。ミステリ、サスペンス、哲学、エロチシズム、その他種々の雑学。全てが混在している小説。こう書くと難しそうだと思われるが、表現がうますぎるのか、あまりイメージできていないけど何となく理解できるので、次から次にページが進んでいく。特に砂の表現は絶品でなるほど、と唸る所多々あり。

学校の男の先生が休日に昆虫取り、それも、砂漠のような砂地に生息する特殊な虫を取りに行ったところでの出来事で、砂に囲まれた、女が一人で住んでいる小屋に監禁され、そこから脱出しようとする小説。

あらゆる方法を、試みるのだが、上手くいかず諦めたり、また挑戦したりで、その時の男の心情がこれまた面白い。女にあたってみたり、いろんな言い訳したり、懇願したり、ととてもうまく表現されている。

私が1歳の時に書かれた本で、いろんな国の言葉で翻訳されたものらしい。読んでいて、正直、砂に囲まれた小屋の具体的な映像が浮かんでこなかったので、ドラマにならないかなぁと思ったら、キチンと映画化されていた。今度見てみようと思う。