4/4 ルビンの壺が割れた 完読

完読って言うほどのものでなく、170ページ程度の薄い小説。帯には、大どんでん返しって大々的に書いてあり、どれ程の推理小説なんだろうと思い購入。

結果的には面白かったし、考えさせる本であった。

全編、フェイスブックでのやり取りで、そのやり取りは、30年前の恋人だった男性と女性の二人だけの物。推理小説では無かったが、色んな要素で、これはこうでは無いか、この男性は、この女性は、本当はこうなんじゃ無いかとか、推理とまでは行かない考察を余儀なくされる本だった。

一つ一つのやり取りがそこまで長く無いので読みやすく、かつ、他人のプライベートを盗み読みしている感もあって、次から次に読み進んでいった。

確かに最後は大どんでん返しって感はあったが、初めからそれありきで読んでいるので、そこまでの衝撃はなかった。おーそうなるか、程度であった。

ただ、話の展開で過去のことが徐々に明らかになっていくのだが、その内容が、職業的偏見だったり、司法制度の在り方だっり、倫理観の問題だったりと、考えさせられる事が多分に盛り込まれていた感じがした。その都度、腹立たしかったり、でもそりゃあ仕方ないかと考え直したり、感情を揺さぶられた感がある。

この二人が知りあっのが大学の演劇部っていう事も振りが良くできていると思った。男女の出会いは所詮は互いに芝居している様なものなんだって事。全てを曝け出す事が本当に正しいのだろうか、全てを知ろうとする事が正しいのだろうか、結局、そこには解は無いのだが、人との触れ合いはその探り合いが難しくもあり、また面白いのではないのかと、思わされた本であった。