2/27 出身成分 完読

高校事変を読んだ時に、巻末の解説のところに、この出身成分のことが書いてあり、北朝鮮脱北者からヒアリングしたもので、なんか凄い、みたいな事がかいてあったので気になっていた本。

この内容が真実であれば、こんな状態でよく国が保たれているなぁと感心する。「出身成分」ってどういう意味か全く知らなかったのだが、日本の江戸時代の士農工商穢多非人の様な身分制度の事であり、この現代において、まだこの様な制度が維持されているとは、思いもよらなかった。まぁ、インドのカーストも最近ようやく改善されている様ではあるけれど。

普通の階級の主人公が、過去の殺人、強姦事件の真実を追っていき、最終的に事実は解るのだが、そこには出身成分が嫌というほど絡んでおり、主人公が家族や親や無実の他人のいずれかを底辺まで落としてしまう決断を迫られ苦悩していく様を描いている。

結末に向けて、事実が二転三転して、最後はそうなるのか!と思わせる内容。さすが松岡さん。

下層階級の生活を読んでいると、「弥勒」で出てきたクーデター後の生活みたいでいたたまれなかった。

主人公と上官が、北朝鮮生活様式と、例えば日本の様な民主国家との違いをやりとりしたくだりは、広い意味で、日本も富裕層の人達に飼い慣らされているんだろうなとおもわされた。要するに、資本主義も共産主義社会主義どんな様式でも、人の幸せの基準の範囲が決まっており、所詮は、大半の国民は為政者にうまい具合に踊らされているのだろう。