12/6 ある男 完読

亡くなった旦那さんが、別人だった?本人が語っていた実家に連絡を取り、兄がやってきて、この人は誰?となってしまった。その男が誰なのかを、たまたま別件で離婚の調停をしていた弁護士が、その人が誰なのかを探って行くと言う内容。

弁護士が在日3世であり、その事で苦悩するとか、加害者の身内の苦悩とか、家族の在り方とか、いろんな問題提起をしているなぁとかんじた。それぞれの登場人物の心情とかを他の書物の引用ををしたり、情景なども音楽で表したりして、匠な表現をしていた様に思う。そのためか、なかなか理解が難しくついていけないところもあったが。

以下ネタバレになるが、亡夫は戸籍を取り替えて別人になっていたのであるが、二重、三重と交換しているので、誰が誰かわからなくなったり、加えて弁護士も3世が故ではあるが、自分の過去も交換できたらどうなるんだろうという苦悩を挟みながら進んでいくので、更に誰のことを言っているのか見失ったりしながら読んでいった。スルッと胸に落ちる感じはないが、共感したり、表現が綺麗だっりして、面白かったんだと思う。

心に引っかかったのが、題名の「ある男」。

途中の数行ではあるが、弁護士の苦悩の際の言葉で、この事に言及したところがあり、あーそれでこの題名なのか、と腑に落ちた。要するに、過去にあった印象とかで、優しい男だったとか、怒りっぽい男だとか、また、生まれや育ちで、朝鮮の男とか、島の男だとか、一次の印象だけでそう思われたくないし一括りにしないでほしいと言った意味での「ある男」なんだろう。