11/3 水曜の朝、午前三時 完読


店頭の平置きで、「あなたは必ず涙する。伝説のベスセラー。埋もれているのが惜しい。」と書いてあり、ずっと気にはなっていたのだが、裏表紙を読むと、恋愛物の様なので、敬遠していた本。何となく泣いてみたくなったので、購入。
結果、全く泣けず、何でベストセラーになったのかよくわからなかった。
ある女性が、癌に侵され亡くなる直前に、娘に手紙を書くため、自分の経験を録音したテープの内容が90パーセントを占めている構成。
若い頃、人を見下して生活していて、決められた人生に嫌気がさして、親元を離れて生活している間に、ある人と恋に落ちるのだが、ある事情でその人の元を去って、親元に戻って、再婚。しかし、まだその人のことが忘れられず、苦しい思いで過ごしてきたという事と、その反面、現状の夫と娘と出会えた事は間違いでは無かったことを、伝えたかったといった内容。
確かに、初めてどっぷりと恋に落ちた相手から、事情はあるにせよ去らなければならないとなった時、切ない思いははかりしれないと思うが、どう考えても自分勝手、わがままとしか思えず、共感できなかった。
そんな中、良かったと思う点が二点。
一つは、1970年の大阪万博での内容が盛りだくさんだった事。今まで表面的にしか知らなかった万博の事が何となくわかった事、その当時は、かなり国中を上げての大騒ぎだったんだ。まだ、小学校3年だった自分には、よくわかっていなかった。
もう一つは、主人公の女性がテープに残した、「人生は冒険」と言う言葉。この事は、スッと胸に落ち、まさしくその通りで、ここだけは共感した。冒険をすると決めたら、どんな辛い事、苦しい事があっても、前に進もうとするし、過去を振り返えればそれもまた、糧になってたり、思い出になったりする。人生まさしくこれだと思うし、今までそうしてきてた様な気がする。
題名の水曜の朝午前三時だが、後の解説で知ったのだけれども、サイモンとガーファンクルの曲の題名だそうだ。なぜこの題名にしたのだろうか。小説の内容上、この曜日、時間は何ら関係が無いのだが。切ない恋の歌なのだろうが、上記の通り、この主人公のわがままさ加減がある限り、切ない感じは一切しないけど。