6/2 文天祥 読了

次の本を本屋で探していたら飛び込んできた、文天祥

中国の歴史が好きで、陳舜臣さんの「中国の歴史」「小説十八史略」「秘本三国志」を何度も読んで、中国4000年の歴史の中で、注目する人物1人挙げろと言われたら、文天祥とずっと思っていて、過去にも文天祥の小説は読んだ事があるのだが、改めて読みたい、正気のうたをもう一回読みたいと思って即購入。

再確認のための文天祥だったのだが、どうも様子が違って、1人の英雄、超人の小説って言うよりは、何というか、もっと人間くささを全面に出した人として描かれていて、心地よかった。解説に書いてあった通り、状元、為政界でトップを約束されたと言う称号を持ったが故にとことんまで国に殉じて最後には死んでいく様はなるほどと思った。しかも、彼を信奉する人は沢山いるが、超理想主義なであるがため、嫌っていた人も沢山いて、それが為に上手くいかなかったりと、なかなか人間味を感じさせる様描かれていた。それと、日記の如く沢山の詩を残し、意図的に後世に悪評を残さない様にしていることとか、そう言われればそんな感じも確かにする。

別件ではあるが、冒頭は南宋の街並みとか、科挙の内容やそれに向かう人達の事が描かれており、イメージしていたのと全く異なる情景だったのでとても斬新だった。陳舜臣さんの本ではそこまで把握できなかった。物凄い情報収集してないとあそこまで掛けないだろう。

薄い小説なのに1200円だったので高ーっ思ったが、読了後はこの値段に納得している自分がいた。