9/11 対岸の彼女 完読

直木賞受賞作。裏表紙のあらすじで、女同士の確執みたいな事が書いてあったので、ちょっとな、と思いながらも、店のポップに男性も共感できるみたいな事が書いてあったので、賞を取った小説を読んでいた方が良いかなと思って購入。

直木賞を取っているんだから、とっても良い本なんだろうと思うが、自分には、うーんって感じだった。情景とか心情とかの描写は確かに良いと感じたが、内容がどうもそこまで心を撃たなかった。

男だからとか女だとかとは関係なく、今まで、対人において、そこまで考えたこともなく、何に向かって生きているんだろうとか、そんなに深くも考えていないからかもしれない。ただ、この本に出てくる主人公達の様に、除け者にされ、陰口を叩かれ、無視され、そんな状況になったら、否応なしに考えてしまうのかもとは思う。特に最近ではSNSとかで、無記名で攻撃される時代なので、学校生活って大変なんだろうなぁ。

対岸の彼女って、遠いんだろうか、近いんだろうか。すぐそばに橋が有れば、川が狭かったり浅ければ近いんだろうが、そうでなければ見えなかったり声も聞こえなかったり、遠いのだろう。人間関係も、時と場合によって近くなったり遠くなったりするって言うことを、女性の人間関係を通して言いたかったのかなぁ。

主人公達の心情、行動などはよく分かったが、ここで出てくる、いわゆる普通の年相応の女性達や女学生たちはどんな心情何だろうか、とか、葵の友達のナナコの心情とかが物凄く気になる。それと、もしナナコの家庭状況が違っていたら、葵は同じような行動をしたのだろうかとか考えてしまった。この小説でのナナコは凄いと思うが、主人公二人小夜子と葵はどう読んでもただのアマちゃんとしか思えないのは、自分だけだろうか。

なんだかんだ言って、これだけ書ければ、色々考えさせてくれる良い本だったのだろう。