9/5 道徳の時間 完読

何気に手にした本。

ビデオジャーナリストが主人公。妻が通っている陶芸教室の先生が自殺、その現場に「道徳の時間です」の文字。加えて、以前より発生している、近所のイタズラ、そこにも、「生物の時間です」とか「化学の時間です」の文字。陶芸家の葬式での息子の暴力、それにまつわる恐喝。それに合わせたかのように入ってくる映画作成のカメラマンとしての依頼。その内容が、10数年前に起こった現在息子の通っている学校で起きた殺人事件で、犯人は既に捕まって服役中、その真相を探ると言うもの。その犯人は捕まった直後から判決まで完全黙秘の中、最後に発した言葉が「道徳の時間です」。これらの事がどう関連していくのか全くわからないと言う導入部。

これ以上の内容は書けないが、メディアの在り方、教育の在り方、家庭の在り方、社会的弱者に対する社会の在り方等々を「道徳の問題」と言う言葉で一括りにして、今実際に起こっている問題を浮き彫りにしている本だと思った。

小説的に最後には明らかになるのだが、明らかになった上で、被害者、加害者、関係した人、それぞれの今後はどうなっていくのか、が疑問符で幕を閉じていて、とても考えさせる本であった。