11/19 伊桜里 高校事変劃篇 読了

何気に本屋をうろついたら、見た様なカバーをみつけ「伊桜里」と言う題名、一旦目を逸らしたが、なんか惹きつけられてよく見ると「高校事変 劃篇」だって。何も考えず、即購入。

他の本(正欲)を読み中だったので、何日かカバンの中に寝かせて、この日、読了した。

読む速度を考えると、面白かったんだろうなと思うのだが、なんか、色々とご都合感を感じ得なかった。

優莉家の6女か7女にあたる、結衣の妹の話なのだが、特に悪の英才教育を受けず、親切と思われた家の養女となったが、とんでもない家族で、虐待、虐待、虐待の毎日、小中学校でも、在らぬ限りの虐め、虐め、虐め。生きる価値もないと自ら悟り、自殺を図る所を結衣に助けられ、結衣と過ごす様になり、超短期間で結衣から身を守るすべを大特訓し、急成長。結果、EL累次隊と一線を交えることとなり、結衣の力もあって無事解決って言う内容。

伊桜里の成長があっという間で、そんなことあるかい!って突っ込みたくなったのは私だけだろうか。

近々、17が出るので楽しみにしている。

映画化どうなったのかなぁ。主役、決まったのかなぁ。

9/21 正欲 読了

今世間で話題になっているLGBTQや多様性とかをもろに考えさせる小説だった。

冒頭で、哲学が語られる、吊り広告やら街の宣伝看板は突き詰めれば「明日生きるため」に存在する物って事が語られる。次の段落では、いきなり児童ポルノで捕まった3名の男達の報道記事が綴られる。その後からは3人の主役達が代わるがわる描かれるのであるが、その題名に、主役達の名前と平成から令和に変わった201951日を境に「後何日」または「から何日」と表記される。そして最後の章だけ名前だけで日にちの記載がない。絶対なんか意味があると思ったのだが、全く関係なかった。または私が気づかなかった。解説にも何も書いてなかったので思い過ごしだった。

3人の主役は小学校不登校の子供を持つ検事、水の動きにしか性的興奮をもたない女性、高校の時に兄の部屋にあったAVビデオを目撃し男性不審と言うか男性恐怖症となった女子大生。

この3人の行動と心情が代わるがわる記述され、児童ポルノで捕まった犯人達と徐々に絡んでいき、最後はモヤっとした終わり方なんだけど、物凄く考えさせられた。

多様性という言葉で、いろんな考え方の人を受け入れようって言ってるけど、ほんの少数のこのいろんな考えの人からも外れる人もいて、この人達はその事を隠して人に知られないように生きて行くしかなく、その辛さたるや、生きてる価値が無いとも思ってしまう。助けになるのは同じ考えを持っている人だけなんだけど、なかなか出会う事ができない。この小説では、出会えてそのコミュニティを作っていく最中で、ちょっとした事から児童ポルノで検挙されるのであるが、捕まっところで、自分の性癖がある故に、動機を聞かれても理解してもらえないので黙秘するしかない。

私などはここに出てくる様な性癖はほとんど理解できず本当にいるの?って思うのだが、もし周りにいたら、自覚なしに傷つけていたかも知れないと思うと、いたたまれない気になる。

題名の「正欲」って凄いと思った。

8/22 二木先生 読了

なんとか社の新人賞作品。帯にいろんな絶賛の言葉あり、ちょっと他とは違った性格を持つ高校生とロリコンを隠して生活している教師の話と、学校ものなので興味をひいて購入。

面白かった。ひょんなことからこの学生が先生のロリコンを知り、それをネタに先生を脅すのだが、先生はさすが先生と思う様にたくみに学生を指導して行く。もちろん自分の進退も覚悟の上で。

この学生は、クラスの全員がAと言う事象を選ぶ質問に対して、Bと言う事象をひねくれではなく、理論的に選んでしまう性格、要するに何となく全体に合わせるのでなく、こう思ったらこう、と確固たる意志を持って主張してしまう。だから、誰も好んで会話したいとは思わないし、本人もそれを悪い事とは思っていない。が、一方では、今後誰とも協調しないまま生きていかれるのか、妥協できるのかとか、大きな悩みも抱えている。

方や先生は、学校では真面目な誰にでも好かれるような性格で過ごしているが、性格が本当にロリコンで、漫画家として雑誌に掲載していると言う事実があり、本心を隠しながら教壇に立っている事をよく思っていない節もありながら割り切って生活している。

この学生が、先生を脅すのであるが、学生にしては頭が良く巧みな脅しをし、それに対して先生は巧みに自分は変態って事を肯定しながらも、それがなぜ悪いとか、脅す目的とか尋ねたりして、そのやり取りがヒヤヒヤしながらもおもしろい攻防でページを捲るのも早くなった。

最終的に先生の性癖が、脅している学生が意図しない形で、クラス中に一旦バレるのであるが、学生が上手い切り返しで別方向に変換させる件は面白かったし、学生の成長を垣間見た先生の一瞬の表情の記述は感動した。

文字も大きく、登場人物も少ないので、大変読みやすかった。

最後に知ったのだが、女性作家の作品だったとは、恐れ入った。

8/8 弁護側の証人 読了

重ね表紙に「問い合わせ殺到」「180度ひっくり返る」などすごい本だと言うことが書いてあり、面白そうなので購入。

結論から言うと、本当にひっくり返り、再版を望んでいる事もよくわかるくらい面白かった。この本が私が1歳の頃に書かれたものと知ってさらに驚いた。確かに言葉尻に古臭さを感じていたが、そんなに古いものとも思えなかった。

道尾さんの解説に書いている逆さ富士の話もさすが。頭が下がった。

ストリップダンサーの玉の輿で、金持ちボンボンのところに相思相愛で嫁ぎ、その家庭で旦那様の父が殺害され、その犯人が捕まり死刑が決まっている所から物語が始まり、その犯人の無罪を信じて、新たな弁護士を雇いその判決を覆すと言う小説。あんまり書くとネタバレになるので書けないけど、冒頭のシーンのたった一言で読み手に状況を思い込ませ、その状況のもとで、全く違和感なく展開させて、最後に「えっ、えっ?」て言わせ、冒頭シーン他、要所要所を再読させられるテクニック。凄い。

7/31 高校事変16 読了

さすが松岡さん。161415を回収してる。1415でトーンダウンしたって感想書いたけど、その回答をしてくれたって感じ。武蔵小杉高校事変を彷彿させつつ、結衣とは全く違った方法で敵と対峙する瑠那、凜香、特殊部隊経験者の教師「蓮實」。よくもまあ、こんな展開考えられるなぁと感心してしまった。16だけ読むと素通りする様な内容も、今までの事変を経ているので感心しながらスッと入ってくる。

加えて、今現実に起こっている世界事情、国家的バランス、各国事情もうまく重ねて、日本国民のお国柄、平和ボケしている様を充分に表していて、こんな事変でも起こらないと今抱えている日本の諸問題は何も解決しないって言う問題提起も見事に盛り込んでいる。松岡さんってどこまでモノを知ってるのだろうと恐ろしくもある。

この文を書く上で、13からの感想文読み返したら、個人名の漢字や一人名前自体も間違えてるのに気づいたのでとりあえず直しておいた。反省。

7/17 高校事変15 読了

14と同じぐらいかな。今回のテーマはLGBTなのだろう。

優秀な人間のみで構成された強い国を作るべく結成されているEL累次体、新生の政治家も加わっている団体が、新章13からの本ボスなのだが、13で亜樹凪がその聖母となり、障害者抹殺と言う事変を瑠那が阻止したため、14では瑠那を抹殺すべく、全国の巫女が集まる巫女短期学校でその組織が陰謀を企むと言うながれ。その企みの一つに、どんな女性も虜にしてしまう宝塚トップ女優の様な高校生をその学校に行かせて瑠那を落とそうと言う企み。その刺客である女子高生は同性愛者であるため、EL類次体の強い子孫を構築していくと言う思想に反し、瑠那と引っ付けて抹殺しようとする。合わせて、暴力団の娘、未成年でありながら、実家の一家皆殺しにして留置所(女性は少年院って無いらしく留置所に収監されるとか)にいる所を累次体の手助けで脱獄して、名を変えて巫女短期学校に参加。プラスアルファの刺客も登場して瑠那を窮地に落として行く。

巫女学校での騒動なので、確かに「高校」って付けても良いかもしれないが、今まで見たいな「事変」って程じゃない感じがしたのは私だけだろうか。

 

7/9 高校事変14 読了

ちょっとトーンダウンかな。杠葉瑠那がパーフェクト過ぎの感あり。それと比べるからかもしれないが、凜香がだらしなさすぎ、そういうキャラで通すのならそれで良いと思うが。

13が出た後ボーッとしていて、たまたま本屋に行ったら15が出てるではないか。じゃあ14は?って探しても無く店員に聞いても在庫なし。田舎の書店じゃそうなんだろうと、隣町に電車に乗って買いに行き、1415両方買ってきた。そこまで期待していたのだが。

今回の敵は高三の亜樹凪。この亜樹凪の成長と言うか変貌が急過ぎて、これも付いていくのがちょっと難しい。

今回の巻では、オッサンのだらし無さが浮き彫りにされていた。仮にも自衛隊特殊部隊を経験して、凜香達と関わったせいで、教師に転職し、凜香や瑠那の名サポートの役で大活躍するのかと思っていたが、何と亜樹凪に誘惑されて虜になってしまう。男としては、このシチュエーションじゃあしょうがないか、などと思って読んで行くのであるが、世間では年々女性の活躍が増えており、地位やお金を持った女性が女の武器を使ったら、世の男どもは手玉に取られるのは必至で、すぐにでも女性上位の世に変わるような気がする。私の自論ではあるが、そうなると少子化対策どころか、ますます子供は少なくなるんではないか。そう言う近未来を予言しているような気がする。

15はどんな展開をするのか楽しみではあるが、さらにトーンダウンしたらどうしょうと憂いを抱いて読む所存である。