10/27 背中の蜘蛛 読了

最初、読むのがかったるく、電車で何度も寝落ちしていたのだが、中盤から急激に面白くなり、ドンドン進んでいった本。

最初のかったるさは、警察内の肩書きやら所属名やら、やたらいろんなのが出てきて、誰が偉くて誰が下っ端なのか分かりにくいからだろうと思う。でもこの本、あんまりわかんなくても何となく理解できる様になっていて、へーそーなんだとか、警察ってこんな感じなんだとか、頭ではなく感じでわかってくるから不思議だった。

あんまり書くとネタバレになるのだが、犯罪を解明するために法を破ると言う行為について問題を投げかけている内容。その任についている人の苦悩についても克明に描かれていて興味をそそる。

インターネットのことはよくわからないが、通常使っている部分はほんの一部で、サーフェイスウェブと言うのだそうだが、その奥にはディープウェブという有料のサイトが広がり、更なる奥、ダークウェブという善し悪し混在した情報の渾沌とした沼があるらしい。その世界であらゆる人の個人情報を拾ってこれるシステムを作って、この情報の海を常に監視しているのがスパイダー、題名の蜘蛛である。

このスパイダーは警察が使っていても、個人情報保護法に抵触し表に出ると大問題に発展する物で、よしんば、良心がある警察が使っている時分にはまだ良いのだろうが、どんな悪用もできるもの。例えば他人の財産をネット上で盗んだり。

当然、これを扱っている警察官も善悪の狭間で生活しなければならず、超極秘事項なので、その生活も厳しい制限が課せられる。なので、こんな物有ってはならぬと、破壊する事を考える人もでてくるのも当然であろう。その破壊の表現として、スパイダーにドアを開けると言うニュアンスが使われる。そう、蜘蛛の背中に。

そこまでわかった所で疑問が湧いた。この小説、三章からなっており、三章目が半分ぐらいあるのだが、章の名前が、「蜘蛛の背中」、これは解る。じゃあ何で、本の題名は「背中の蜘蛛」なんだろう。この違いについては解説でも触れておらず、ただただ疑問。読者に「あなたの背中にもスパイダーはいるんですよ」って言う意味なのだろうか。

この本の内容が現実かどうかはわからないが、かなりの確率で、事実起こっている事だと思う。いつも丸裸にされているのを覚悟で、やましい事しないよう生きていくしか無いのだろう。政治家の方々もそうで有ってほしい。