6/22 時の渚 読了

妻と息子を殺された探偵が主人公。その探偵が、余命幾許も無い老人から人探しの依頼をされ、それを遂行していく小説。その探偵はもと刑事で妻と息子をひき逃げで殺され、被害者の家族ということで捜査から外され、この事に憤りを感じ刑事を辞職。挙句の果てには、容疑者はいるのだが、決定的な証拠が掴めず犯人を捕まえられず、こちらはもっと憤っている所での、人探しの依頼なのである。探す対象もまた、特殊で、遡ること35年前、主人公の探偵もこの年に生まれているのだが、依頼人の妻が出産直後亡くなり、どう育てるか苦悩していた所、たまたま通りかかった女性に預けた子供。その女性の手掛かりは微々たるものなのであるが、その微々たるものの中から少しづつ真相が判っていく様は、物凄く真実味があり、世の探偵や刑事達はこうやって物事を紐解いていっているのかということがとてもよく解った。要するに該当する人に辿り着くまでの描写が物凄くわかりやすく描かれていて、薄織の私でも理解しながら読むことができた。

それだけではなく、探偵の家族を轢き殺した犯人の追求も並行して進んでいき、この人とこの人がどう繋がるのだろうとか、読者が勝手にミステリ感を抱かせる様な展開があったり、要所要所でハラハラさせるアクションがあったり、家族の在り方とか、人の暖かみやら、様々なものが折り重なりながら、ラストに向けての二転三転するドンデン返し、そうきたかって思わせる面白い小説だった。

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