7/2 楽園のカンヴァス 完読

原田マハさんにハマってしまった。本日はお日柄もよくとは打って変わって、推理と言うかミステリーと言うか、謎めいた本でかつ物語もわかりやすく、大変面白い内容だった。絵画の事は一切興味が無かったのに、出てくる絵の描写を読んでいると無性にどんな絵なのか知りたくなって、ネットで調べながら読んでいった。本の後半で分かったのだが、ネット上で、この小説に出てくる絵を順番に並べているサイトがあり、絵にのめり込まされたのは私だけじゃ無いんだなんだと思った。それだけ、マハさんの文章力、表現力があると言う事。絵の説明だったら、展覧会のカタログとか図鑑にもそれこそきっちり詳しく書いているのだが、比べ物にならないと思った。

本の内容としては、アンリ・ルソーという画家をこよなく愛す人たちの話で、ある一枚の絵を巡って、手元におきたい人、大切に後世に残したい人、ずっと観ていたい人、売り飛ばして金儲けをしたい人など、それぞれの人達の思惑が交差し、意外な展開を踏まえながら、最後には胸のすく結末を迎えるといった物。

アンリ・ルソーは、税関士をしながら絵を描いていた人で、いわゆる職業画家ではなく、誰の師事もなく、遠近法とかの一般的な技術も使わなかったため、他の画家からは、日曜画家と揶揄され、見向きもされてなかった画家。その画家の絵が晩年、ピカソの目に止まり、その絵の創作性を高く買い、ピカソの晩年の前衛的な絵の元となっているとされている。

ある伝説のコレクターがそのルソー の絵「夢をみた」を持っており、真作か贋作かの見立てをルソー研究の第一人者と思われるある二人にさせると言うストーリーなのだが、その見立ての方法が面白い。「夢をみた」の絵には7章からなる物語があり、その物語を一日一章づつ読んで七日後に二人の講評と合わせて真贋の判断を聞き、納得できる方を勝者として、その絵の所有権をそっくり譲るというもの。

見立てる側の二人も、本人が曰く付きで、ハラハラさせられるのだが、その二人に近寄るバイヤーやインターポール、彼らが話す絵の価値や秘密など、どうなっていくんだろうとワクワク感が止まらなかった。

読んでいて、なんとなく映画ダビンチコードを思い出したり、貧乏画家の歌、高見知佳セザンヌの絵を思い出した。

次もマハさんかな。何とマハさんと同い年だった。