7/10 暗幕のゲルニカ 完読

モーレツに感動した。

ピカソゲルニカを軸にして、ヨーロッパでの第二次世界大戦前後のゲルニカの誕生と200191同時多発テロ後のゲルニカの誘致、という時、も場所も目的も異なった二元的というか、次元を超えた反戦、反テロへの行動、しかもそれを絵画、芸術という武器で戦った人達の情熱が、余す事なく伝わってきた。しかもそれが、本なのにテンポ良く、時、場所を行ったり来たりして、サスペンスも含みながら、色んなところで人が繋がり、最終的にゲルニカはどうなるのか、と言った推理ペーストも加わって、最後には胸のすく結末となる、途中、なんとなく判るのだが、それでも胸のすく、それでいて、今後も考えさせらる、そういった小説であった。

解説はあの池上彰さんで、ここでも書かれていたが、この小説はフィクションでありながら、実際の人物を交えて話が進んでいき、もしかしたら史実では?と疑わせる、その構成力、原田マハさんすげ〜。

それにしても、世の中色んな国、勢力、団体があるが、いずれも反戦、反テロを訴えているにもかかわらず、てめえ達の身勝手で、主張を貫くため、戦争、テロを繰り返している。人間てなんだろうなんて思ってしまう。まぁ、動物や昆虫も自分たちの縄張りやら、生存やらで争いが絶えないので、人間も一動物と考えれば、当たり前のことを繰り返しているだけなんだろう。

私個人としては、絵画には深い興味がなく、ただ単にビジュアル的に、綺麗だとか、整っているとかそういった見方しかしてなかったが、見方が変わった。少なくとも、ピカソとルソーは、原田マハさんに教わった。美術館に行ってみようかなぁとも思った。

私がみたゲルニカ30年ぐらい前に彫刻の森美術館のタペストリーみたいなレプリカだった記憶があるが、その時は子供が描いた絵みたいだなぁ、という印象しか無かった。情けない話だ。加えて、ゲルニカが地名って初めて知った。恥ずかしい話だ。