5/2 炎罪 完読

これも、病院の売店で買った本、という事で、余り期待していなかった物。期待してない方が面白さが増すのかどうか判らないが、面白かった。

ある病院が全焼してそこから遺体が見つかり、自殺か他殺かと言うことで、容疑者が上るのだが、主人公の女性刑事の直感で真相が暴かれて行くと言うストーリー。この主人公の小説はシリーズ物で、今回のは第二段なのだが、簡潔に正確や素性が描かれているので判り易かった。何故そんな直感が働くのかとか。主人公だけで無く、被害者や容疑者の家族や、犯人に至るまで、個人個人が丁寧にしかも簡潔に描かれてと、解説にも書いてあったが、まさしくそう思った。
この作者もどこかで見た様なと思って調べたら、「白砂」を書いた人と同じ人であった。白砂よりは断然面白いと思った。

4/25 亡者たちの切り札 完読

これも、病院の売店で買った本。買う判断基準としては、前回の弥勒の時と同様、ページ数の多い物。なので、面白さは余り期待していなかったし、読み始めるのに時間がかかった。そのせいか、本の面白さかどうかは判らないが、出だしから惹きつけられる展開で、やっぱり小説は面白いと思った。5年前には考えられない感情である。

さて、内容だが、バブルが弾けて、全てを失い大きな負債を抱えている40歳位の男が主人公なのだが、偶然、友人の娘が誘拐される所を目撃し助け出すのだが、その後、本人も拉致されたり、知り合いが殺されたりとかして、矢継ぎ早に事件が起こっていく。その真相を探るべく、主人公は東奔西走するのだが、なかなか解決に至らない。それを助けるのが、主人公の会社の社長であったり、その友人の料亭の女将であったり、そのお陰で真相に行き着くのであるが、結末は意外な所に転がっていく。
まあ、スピーディな小説。主人公も自分のものでは無いがマスタングを粋に乗りこなすような人で、周りの人達も、硬派な人達ばっかりで、かなりハードボイルドなタフガイな小説だった。車の知識と都内の地理をもっと知っていれば面白さは倍増してたと思う。
読んでる途中で、なんかこの作者の名前見たことあるなぁと思って調べたら、昨年読んだ、子宮の記憶と同じ作者だった。

4/14 高校事変 Ⅵ 完読

昨年の7月に1冊目が出て、はやⅥ。物凄いスピードで執筆しているように感じる。今回も、新型コロナの事やら、ミスターゴーンの逃亡の事やらが記載されており、決して書きダメしているとは思えない。松岡さん凄い。

加えて、自分はあまり知識が無いから、サラッと読んでいるのだが、銃器や兵器、科学的な技術や格闘技、警察内部の機構や犯罪組織、などなど、なんと詳しい事。恐れ入る。
今回は、修学旅行ってあったので、えーって感じだっのだが、沖縄の米軍基地内での事変と言うか、戦争。ダイハードを超えた面白さあり。
妹との関係とか、今後の兄弟関係とか更に深まって行くようで、この先も見逃せない。

4/9 弥勒 完読

かなり衝撃を受けた。面白いを超えた本だった。

病院の売店で売っている本でより時間を潰せる1番厚い本がこれだったので購入。約4センチで7百数十ページ。殆ど期待していない本だったのに。
国家とは何か、社会生活とは何か、繁栄とは何か、宗教とは何か、理想郷とは何か、生きる事とは何か、生活とは何か、愛とは何か等々、様々な問題点が、一人の展覧会企画者の経験を通して語られていく。そこには、明確な解は無く、たぶん読む人に色んな問題を投げかけているのだろう。
物語りは、現代の日本から始まり、パスキム王国の美術にハマった主人公がパスキムを訪問、そのパスキムでは、革命後の理想郷に向けての再構築中で、その中に拉致され、様々な凄まじい経験を経て、最後にはボロボロになってパスキムから出る事はできたのだが、と言う所で物語りは終わる。
その間のパスキムでの生活の描写たるや、これでもかと言うくらいに、凄まじい物で、とても女性が描いたものとは思えないくらい引き付けられた。
物凄い殺戮をした指導者にも話せば確固たる信念があり、方法の良し悪しはあるが納得できるものがあったり、私個人は信仰なんて不要と思っているのだが、これを読む限りでは、信仰、宗教と言うものは、人として必要なものなんだとも思いはじめて来た。
後半の主人公が脱出するきっかけとなった所は、先が読めないくらい泣いてしまった。そこには、主人公の思いとか何も描かれてなく、ただ行動のみ描いているのであるが、涙が止まらなかった。
その他、色んな事を考えさせてくれ、いい本を読んだと実感した。

3/31 新・寝台特急殺人事件 完読

これも病院で借りた本。なんとほぼ半日で読んでしまった。かなり目が疲れた。

十津川警部物で、東京でサラリーマンが正当防衛とは言え、筋モノの人を殺してしまい、訳あって、ブルートレインで長崎に逃げるのであるが、当然殺された方の仲間は復讐の為、追っていく、復讐させない為、十津川警部も追っていく。ブルートレインが走ってる中での、犯人探し、時間との勝負、等々、結構スピード感あって面白かった。さすが、西村京太郎さん。
ただ、なんでここまで犯人をかばう人が居るんだろうとか、色々ツッコミどころはあったが、長崎での情景とかがよくわかって読み応えはあった。

3/29 横浜山下公園殺人事件 完読

これも、病院の移動図書館の物。30年ぐらい前に書かれた小説。あまり期待もせず読んだのだが、結構面白かった。

しょっぱな、人工透析している病人が登場し、その人に献身的な看護婦がいて、てっきりその病人が、被害者になる物だと思っていたが、全く違っていた。まさかの探偵役。入院中の患者が探偵だなんてかなり意外であった。
また、題名が山下公園殺人事件となっているのに、最初の殺人現場は四国。3番目の殺人が山下公園なのだが、特に題名になるほど特徴的な物はなく、何でこの題名にしたのかが解らない。密室殺人あり、万葉集を使っての暗号あり、色んな要素が有るのに、なんでだろう。
でも、期待してなかった分、面白さが増したので良しとしよう。

3/27 天才 完読

入院中、移動図書館にあったので借りてみた。石原慎太郎さんにも、田中角栄さんにも興味は無かったので、あまり読む気はしなかった本。ページをパラパラとめくった所、文章の上下部分にかなりのスペースがあり、行間も小一の教科書かと思うくらい空いていたので、読むのには時間はかからないだろうと思ったのも、借りた理由。

物語りは角栄さんの生い立ちを、自分で語るという内容。なんで石原さんがここまで知ってんのとずっと思ってたけど、石原さんも議員さんだった事、忘れてた。
やはり、民間から国のトップに立った人は、幼い頃から物事を見る目が違っていた。金で人が動くとか、上位下達で物事は進むとかのからくりを幼い頃に意識していたとは、凄い。
ロッキードで退任していくのだが、今まで、本当に汚職していたと思っていたけど、この本によると、アメリカに嫌われてその嫌がらせではめられたらしい。今更ながら、ロッキードが何だったのか知りたくなった。
後、日本列島改造論。最近ようやく、角栄さんの構想に近づいたのでは無いだろか。ハード面だけだけど。ハードはできてきているが、実際の北日本の発展にはまだまだ程遠い状況ではある。でも、やはり先見の明があった事は否定できない。これも凄いと思う。
題名の天才。石原さんは角栄さんは政治における天才としてるので、この題名にしたのだろうが、本を読んでの感想は、角栄さんは天才と言うよりは努力家だと思った。自分のやりたい事、正しいと思う事を進めていく為に、あらゆる手段を使って実行していくには、閃きとかでは無く、コツコツ積み重ねた努力が不可欠なものでは無いだろうか。
でも偉大な人であったのは間違い無いだろう。アメリカに嫌われなければ、日本は今、どうなっていただろうな。