4/9 弥勒 完読

かなり衝撃を受けた。面白いを超えた本だった。

病院の売店で売っている本でより時間を潰せる1番厚い本がこれだったので購入。約4センチで7百数十ページ。殆ど期待していない本だったのに。
国家とは何か、社会生活とは何か、繁栄とは何か、宗教とは何か、理想郷とは何か、生きる事とは何か、生活とは何か、愛とは何か等々、様々な問題点が、一人の展覧会企画者の経験を通して語られていく。そこには、明確な解は無く、たぶん読む人に色んな問題を投げかけているのだろう。
物語りは、現代の日本から始まり、パスキム王国の美術にハマった主人公がパスキムを訪問、そのパスキムでは、革命後の理想郷に向けての再構築中で、その中に拉致され、様々な凄まじい経験を経て、最後にはボロボロになってパスキムから出る事はできたのだが、と言う所で物語りは終わる。
その間のパスキムでの生活の描写たるや、これでもかと言うくらいに、凄まじい物で、とても女性が描いたものとは思えないくらい引き付けられた。
物凄い殺戮をした指導者にも話せば確固たる信念があり、方法の良し悪しはあるが納得できるものがあったり、私個人は信仰なんて不要と思っているのだが、これを読む限りでは、信仰、宗教と言うものは、人として必要なものなんだとも思いはじめて来た。
後半の主人公が脱出するきっかけとなった所は、先が読めないくらい泣いてしまった。そこには、主人公の思いとか何も描かれてなく、ただ行動のみ描いているのであるが、涙が止まらなかった。
その他、色んな事を考えさせてくれ、いい本を読んだと実感した。