10/12 極楽カンパニー 読了

定年後、会社から離れて、毎日図書館通いしていた初老の人が、図書館で出会った同じ様な人と意気投合し、フェイク会社を設立。あれよあれよという間に人が増え、ライバル会社やフランチャイズまでできていく。フェイク会社とは、利益とか成長を抜きにした、お遊びの会社で、社名も株式会社ごっこ。通常の会社は、人、物、金、情報で成り立つ所、物と金だけが蚊帳の外の会社。戦後のどん底から定年を迎えた人達はいわゆる会社人間で、会社が基準で拠り所なので、そういった方々は確かに結構いて、現実味があり、急成長もうなづける。要するに、栄耀栄華を求めるのではなく、決まった時間に起き、決まった時間に決まった所に行き、お昼には弁当なり、外食なりで済ませ、決まった時間に帰宅する、時には、会社から離れる出張があったり、帰りに一杯ひっかける、こういった事が忘れられないのだろう。

創立者の息子は普通の会社員で、やりがいの関係で、今まさに辞職しようとしている所。このフェイク会社を見て、初めは年寄りのお遊びとしか考えなかったが、急成長の様を見て、これは金になると思い、この人たちから出資金を貰って一事業する事を親に相談したところ、高齢者を食い物にする気かとしこたま怒られる。

そりゃーそーだ。

その後、息子はいろんな人にアドバイスをもらい、画期的なアイデアを捻出する。人、情報は高齢者に、もの、金は若い人にと、完全に分業にして、高齢者には負担のかからない様にするというもの。正直、具体的な形態はよくわからないが、ウインウインになるみたい。

ところがいざ進めようとすると、前に怒られた事業をやり始めた輩がおり、加えて、年寄りから集金した出資金を持ち逃げしてまったのだ。この悪事は、フェイク会社全て同じと一括りにされ、父親の株式会社ごっこも休業を余儀された。結論的にはこれで収束していくのだが、最後に前出のウインウインをやってみようというところで完。

高齢者の思いとか、家族の思いとか、考えさせられるところはあったが、全体的にもうちょっとかな。