5/26 横浜大戦争 完読

いやー面白かった。横浜市の各区にそれぞれ土地神様がいて、ひょんなことから、横浜市の土地神様から横浜一を決めるお達しがあり戦争が始まると言う掴み。その土地神様達のキャラクターが面白い。人間の生活を熟知する為に人間社会で仕事や立場も持ちつつ、それぞれが異なった神器を持っていて、その神器にあった力が使える。例えば旭区の神は「化鳥風月」と言う横浜の動物を操れる刀の神器を持つ動物園職員であったり、保土ヶ谷区の神は、「硬球必打」と言うなんでもホームランにできる金属バットの神器を持つ大学生であったり。

さらにその神々の関係が面白く、イメージ的なビジュアルは皆同じぐらいの年齢で、兄弟だっり親子だったりして、全員親戚みたいな感じ。そのビジュアルと関係性に違和感が興味をそそる。

その神々が大戦争するのである。神器を使ったり使わなかったりして。仲間を作って勝利を得ようとする者、一人で1番を取ろうとする者、それを止めようとする者、戦争なんてまっぴらと思って、仲裁に走る者、皆必死になって横浜の各地で大乱闘が勃発する。この小説で「民」と表現している普通の人にはわからないように戦争が進んでいくのである。

最後には意外な所に収まるのだが、その過程がなんと人間じみていることか。兄弟同士の繋がりや家族の繋がりが擬似だから故、元々その関係性は脆いのだが、続けて行くうちに民の持つ感情も芽生えていき、神同士で腹を割って会話をしていないが為にすれ違いが起き、争いになっていくことに気づき収束して行くのである。

主人公は神達であるが、人間のもつ復讐心やら信頼感やら家族愛、慈愛、虚栄等、現代の問題点をあらわにし、その原因が会話の無さと言うことで完結していて爽快でもあった。

これも舞台にできないかとも思ったりしたが、大乱闘のシーンは外せないので舞台は無理。だけど、映画にすれば絶対当たると思う。18区の神様達の配役なんかワクワクすると思う。

「明治編」と言うのもあったので次読むのはこれかな。