7/20 事件 読了

宮部みゆきさんが巻頭に一文書いているとの事で購入。裁判の小説なのだが、ミステリやサスペンスと違う、裁判てこんな風に進んで、判事、検察、弁護士はこんな風に考えていると言った内容。巻頭の宮部さんの言葉には、小説家になる前は法律関係の仕事をしていたそうだが、その道に進むキッカケとなったのがこの小説だそうだ。

全体的に言うとやっぱりかったるかった。冒頭から事件のあらましがわかっており、被告人も自供しており、その判決が言い渡されるまでの裁判の状況を隅々まで描いてあり、確かに、判事や検察官や弁護士達の弁論のやり取りの所は迫力がありスルスルと読んでいけるのだが、その間の裁判の手続きや裁判の歴史の説明が進まない進まない。必要な内容であるのはわかるのだが、そんな事はどうでも良いからこの先どうなるのかを早く教えてくれって思う感じ。会話と会話の間の説明部分で何度寝たことか、何度繰り返し読んだことか。

とは言え、裁判におけるそれぞれの人達の役割やらそれぞれの考え方などキチンと描かれてあるので、朧げながら理解はできるようになっていたのだろう。

裁判が始まるまでは弁護士は被告人と会えないとか、検察官が集めた証拠を裁判の中で弁護士が認めるかどうかを判断した上で、認められたものだけを使って事実を紐解いていく、その際、証人を呼んで尋問していき、更に事実を明らかにしていく。判事はそれまで、報道すら目を通してはいけないのだそうで、裁判の中の明らかになっていく事実を総合して判決を決めて言い渡すのだそうだ。

面白かったのは、判事はそんな風に事実を聞いて有罪無罪、刑期などを当てはめていくのが仕事であるのに対して、検察官と弁護士の間には、検察官のたてた見立てに対して弁護士はどう崩していくか、検察官はどう堅守するか、勝負、いわゆる勝ち負けがあるのだそうだ。その為には、事実を明らかにしなかったり、事実をいろんな解釈で取り合ったり、この辺が腕の見せ所なんだそうだ。被告人の立場ってあんまり考えてないような事も書いてあった。

確かに、人間が人間を裁くのであるので、感情が入るのは致し方ないとは思う。

解説を読むと、この作家は推理小説を書く人みたいで、この本も推理小説として扱われているらしい。そう言われればそうなのかなぁとも思うが、自分には裁判劇としか捉えられなかった。