6/16 紙の月 完読

一歩間違えると誰もが犯罪者って外カバーに書いてあり、裏表紙のうたい文句も興味深かったので購入。結論、面白かったぁ〜。宮沢理恵さんが主役で映画作ったみたい。ちょっと綺麗すぎると思うが。

一般的な女性が銀行の営業をしながら、初めは仕方なく、お客様のお金をちょっと借りてすぐ返すというプチ横領をしてしまった。その後、徐々にエスカレートしていって、こっちで使ったお金はあそこから借りて、と繰り返していき、何千万もの横領になったところで、外国に逃げると言う話。その女性の感情の変わり方がとても共感でき、つるつる読んでいった。私個人も、消費者金融にお金を借りた時、初めはいつでも返せると思っていても、余りに借りやすいため、まだ大丈夫まだ大丈夫と、思いながら、返済のために別のところから借金をしてしまうと言う負のスパイラルに入ってしまい、利子のみを返していく月々になってしまった経験があるため、なおさらよくわかった。

ただ主人公の借金をしてしまった理由が、若いツバメを囲ってしまった事もあっただろうが、根底には、人に良く見られたいとか、ケチ臭いと言われたくないとか、ミエを張るため、と言うところが本当にそんなになるものなのかなと疑問を持った。家庭環境も大きく関係していて、夫が関心を持ってくれないとか、子供のことや、将来のこと、すれ違ったり、言葉少なであったりすると、タガが外れた時は一気に雪崩れてしまうものなのかもしれないか。面白いのは、この主人公の数少ない知り合いの生活や感情を、合間合間に挟んでいって、彼ら彼女らも予備軍と思わせる書き方をしている所。

以下ネタバレになるが、結局、主人公は捕まるのか、捕まったとしたらその後のことは一切書いてなく、知り合い達も最終的にどうなったのかも書いてなく、横領された被害者達はどうなったのか、銀行の対応はどうしたのか、ツバメや夫はどうなったのか等々、モヤモヤ感がすごく残る本。それでも、なぜか面白かった。

何で題名が「紙の月」なのかよくわからなかった。