5/7 文字渦 完読

背表紙の宣伝文句で短編だけど最後に繋がるみたいなことが書いてあり、目次を見ると、緑字とか闘字とか金字とか書いてあり面白そうなので購入。背表紙の内容は勘違いしていて短編が繋がるということはなかったが、全体的になんか面白かった。正直、全く理解できていないのだがなんか面白かった。全編、日本語の文字が主人公で、文字が擬人化していて、誕生や衰退や繁栄をしている様を、中国の歴史やら日本の歴史、宗教やら哲学、電子の世界から宇宙空間、現代の小説やらゲームやら、色んな場面場面で語られていく小説。文字の擬人化なんて初めてだった。

本当にあったかどうか知らないが、文字と文字をジャンケンの様に出し合って戦ったりだとか、文字自体が光ったり、他の文字と融合してみたり、幾何学的に変化したりと物凄く興味深い内容だった。全く意味がわからなかったのだが。

中でも興味を引いたのが、2次元の文字を3次元や4次元で感じる所。紙に書いている文字は2次元でしか無いが、書いている軌跡、筆遣いを感じる事で3次元、時間の流れまで考えると4次元、なるほどと感じ、毛筆の文字などはそうやって感じる物なのかと感心してしまった。三つ葉結びの文様って何者か知らなかったが、二次元的に考えたら一筆では絶対描けないのに3次元、4次元的に書いている描写は面白かった。ほとんど理解できていないがお見事と思った。

内容がわからなかったので、解説を楽しみで読んだ所、わかりにくい話であるのは間違いなく、理解するためには、片手にiPhone持って調べながら読むと良いとの事。外国語の本を読む様に。成る程、確かにある程度iPhone使った。阿字って何?三つ葉結び目って何?とか。

それでも、中国の歴史を読み込んでいるので、兵馬俑の事とか、則天武后の事とか、顧愷之とか、なんとなく理解できた所もあった。

こうやって読んでいると、漢字って、ひらがなって、日本語って奥が深いなぁとつくづく思った。