2/14 ルポ 川崎 完読

パラパラとめくったら、刺青の人の写真やら、ヤバそうな顔の人の写真やらが出ていて、自分の知らない川崎が書いているのだろうと思い購入。しかも新刊本。

基本的には、43回の殺意での内容とほぼ一緒だったが、そんな中でヒップホップで成功した人たちを中心に書かれている本。
正直、ヒップホップの事はよくわからず、その名前も基本的に横文字で、しかも本的に縦に英字を記載しているので大変わかりづらかった。
川崎には35年ぐらい前から居るが、来たばっかりの頃は、川崎駅はまだ古いままで、駅前はアゼリアの工事中で、京急線の高架の先には右からさいか屋、モアーズ、コミヤなる商業ビルが立ち、大都会に見えもしたが、とにかく黒く薄暗く曇ったイメージしかなかった。イメージだけで無く、来た当初は南側は危ないから行くなと言われるぐらいダークな街であったのは確かだと思う。怖くて確認してないが。
が、アゼリアができ駅が新しくなりチネチッタができラゾーナができ、駅前が見る間に近代的になるにつれ、そう言ったダークな世界も無くなった気がしてたのだが、ずっと残ってたなんて、全く知らなかった、と言うか知ろうともしなかった。
良くも悪くも、外国人、母子家庭、仕事にあぶれた人達の住みやすい所だったのは確かだが、その代償として、いわれの無い力関係で成り立っている社会、当然犯罪もあり、暴力団有りの縦社会で抜けようと思っても抜けられない世界が、今も、続いているとは。
そんな中で、ラップとかスケボーや格闘技で名が売れた人たちが過去を振り返りながら、今の自分や、これからどうしていくかなどを語っている。前向きなものがあったり、変わりようが無い事を語ったり。ヘイトスピーチとかと闘ったり、こんな川崎を変えようと思ったりしている人達は立派ではある。が、全員がそうでは無いが、彼等の成功の前の苦労時代の間、さらに虐げられてきた人達、カツアゲの対象になった子供達や、万引きされた被害者とか、いわれの無い暴力を受けた人とか、がいっぱいいるはずで、その人達のことは一つも触れていない。作者が音楽ライターだからかどうかは知らないが、さらにその先を問題視すべきだったのではと思う。そう言う意味では、43回の殺意はよく書かれていたと思う。
それと、成功した人達も、かなり犯罪を犯した経験を持っており、それが元となってラップなりダンスなりの魂に繋がっているみたいな事を書いてあるが、何となく、彼らを目指すしている子供達には犯罪を肯定している様にも読めてしまう感があり、これで良いのかと疑問に思ってしまった。いい芸術には犯罪が付き物みたいな感じ。逆に言うと、犯罪を犯さなければ、良い芸術は生まれないんじゃ無いかとも思ってしまう。
誰もそんな事は考えてないと思うけど、この本読んでそう感じた。