1/7 尾道茶寮 夜咄堂 完読

コロナ禍の中、故郷である尾道に帰省した折、見つけた本。尾道が舞台になっているので気になって購入。ぱっと見、何となくゆるい感じがしたが、さほど期待もせず読み始めた。

茶寮、抹茶とか茶席で出す様な喫茶店、を経営していた父親が亡くなって、そこを処分しようとした大学生である息子の成長の話。
突然、付喪神(つくもがみ)が擬人化されで登場し、彼らを通じてさまざまな経験を積んでいくのだが、茶道の言葉とか作法とか出てきてとっつきにくいなぁと思いながら読んでいったのだが、最後の章では、ファーストキッチンでコーヒー飲みながら、思いっきり涙を流して読んでいた。嗚咽を堪えるのがしんどかった。それぐらい心に触れた小説であった。読んでいて、鉄道員(ぽっぽや)を思い出していた。ぽっぽやも電車の中で読んでいて、泣くのを堪えるのが辛かった記憶がある。
付喪神って物の神様らしく、百年以上使い続けると現れるとか。その神様達の純粋で健気である様を読んでいると、あらゆる物を大切にしなければならないなぁと思ったりした。また、茶道を通しての成長なので当然茶道が何たるものかを書いてあり、少し茶道に興味を持ってしまった。客をもてなすとは、どういう事なのかとか何となくわかった気がする。
この本、芝居でできるかもなんても思った。
私としてはオーラスは蛇足だったのではなかろうかと感じたが、その前に大きな感動があったので、まぁいいか。