12/5 全てがFになる 完読

なんとなく気になって、背表紙に完全密室殺人とあったので購入。
大学の教授とその教え子が事件に巻き込まれて、解明していくストーリー。
殺人が起こる現場は、個人所有の孤島で、その所有者は天才の中の天才といった感じの若い女性。その女性は、コンピュータシステムのプログラムなどは簡単に作れてしまう人で、ソフトだけでなく、ハード創作も難なくこなす大天才。その女性が、過去に起こした事件がきっかけで、その島に研究所を作って、研究施設を運営しながら、自らは犯罪の容疑者として、監禁状態で10数年過ごしてきている。この研究所は大天才の作ったシステムで全て運用され、監視されていて、さらに監禁エリアは、物の出し入れまで記録されているそんな部屋で殺人が起きるのである。
それを解明する教授も天才肌で、教え子との関係が微妙であり面白い。
天才ばっかり出るので、最初の方は、プログラムの用語とかが多く、理解不能であったが、殺人が起きた後の展開が面白く読み入ってしまった。
プログラムを駆使した話の流れなので、どうにでもなるじゃん、とも思いながら読んだのだが、不可解な所は前の方に布石を打ってあったりして、なるほど、と思った。
これだけなら、まあ普通の推理小説なのだが、教授と教え子との会話や、島の中での天才たちとの会話の中に、哲学がチラホラ入っており、それがまた面白かった。特に日本人はリキッドで欧米人はソリッドという所は斬新で面白かった。

解説を読むと、このシリーズは10冊で完結するとの事で、この作品が初めての文庫本。これから後、9冊出ると言うことなので、読むものに困らなくなるかも。