11/22 ことり 完読

裏表紙のあらすじ読んで興味を引いて購入。小鳥の言葉しかわからない兄を持ち、その兄の言葉を唯一理解できる小父さん(おじさん)の生涯の話。

小鳥の言葉と書いたが、実際は兄独自の言葉で小説上では、ポーポー語と言っており、小鳥を見ることが大好きと言うか、生活そのものだったので、あたかも小鳥と会話している様に聞こえていたのだろう。この兄は、言葉もそうであるが、行動にしても、庭に来る小鳥の餌をやる事、毎週水曜日に飴を買いに薬局に行く事、近所の幼稚園にある鳥小屋を見に行く事、貯まった飴の包装紙で小鳥のブローチを作る事、架空の旅行をする事、など、限られた事を規則正しく行い、その決まった行動以外の事が起きると、非常に不安定になる人であった。つまり、小鳥の小父さんが居ないと、まともな生活ができない人だった。そんな兄でも、小鳥の小父さんは尊敬していて、通訳だけでなく、生活の面倒含めて、全てにおいて、それが自分の為すべきことの様に、兄をフォローして生きていた。そんな中、兄の死を迎え、一人になってから、新しい出会いがあったり、事件があったり、鳥小屋が無くなったり、勤め先から暇を貰ったり、小鳥を助けたり等々、様々な事が起きるのだが、大きな変化が苦手なため、第一線を踏み切れず、我関せずで生きて行くのである。
どちらかと言えば、社会から外れていた人達ではあるが、ありのままをそのまま受け止めるといったような、こんな素朴な生き方こそ、今の人は忘れ去っているのでは無いかと思う。