5/21 祖国の選択 完読

これも病院の売店で購入。中国残留孤児の内容なので、大地の子を思い出し、泣きたい気分もあったので選んだ。

結論から言うと、全く泣けなかった。当時、満州から引き揚げられた方々の生の声で、その時の悲惨さを語られる、オムニバスなのだが、悲惨さやその時の状況などで、想像もつかない様な大変な事象や思いが、有るのだろうが、いかんせん、生存でき、日本に帰る事ができ、家庭ができ、ある程度の生活ができた方々の回顧であるので、そうだったんだ、という感想しか浮かばなかった。
腹立たしいのが日本軍、一般市民を置いてけぼりしてサッサと引き揚げたこと。これが全ての元凶だろうと思う。昔も今も、政府が下り坂になると、自分可愛さで国民を見る事ができなくなるのだろう。
勉強不足で驚いたのが、日本て中国の奥の奥まで進行していて、ひょっとしたら、中国全土も日本のぞっこくになってたかも知れない事。満州の一部だけだと思っていた。そう考えると、残留孤児の事より、その時占領されて行った、朝鮮半島や中国の一般市民の方々の方が、占領後も、奴隷の様な扱いを受けたりして、もっと悲惨な目に合っていたのでは、と考えてしまう。
そんな状況下なのに、満州人やモンゴル人、中国人の一般の方々は、残された日本の子供を引き取り我が子の様に育ててくれていた、という事に頭が下がる思いがする。普通だったら、憎っくき日本人として放ったらかしにすると思うのだが。
この本は、結論として、戦争の悲惨さを生で語る方々が高齢となり亡くなって行く中、いろんな形で語り伝えて行かなくてはならないとしている。それは良い事だと思うが、日本の中だけでなく、世界、主には日本が攻めて行った国々の方々の回顧も合わせないと、本当の戦争=悪と言うものは伝わらないと思う。