3/26 死の淵を見た男 完読

すでに映画化されている本で福島第1原発地震よる津波からの大事故の際、放射線がどんどん上がっていく環境の中で、最悪、大爆発の連鎖が起こりうる状況を少しでも阻止しようとして現地に残った50人のノンフィクションの小説。映画ではFukushima Fiftyという題名。

正直、報道等でこの事故は知ってはいるけれど、対岸の火事でほとんど興味が無く、危機感も全くなかった。
よもや、日本が3分割されるくらいの放射能汚染が起きるかもしれないぐらいの最大級の事故なのに、自分には全く関係ないと思っていた。あの時は、それよりも電気をどうしようかと色々考えていただけで、最悪、関東地方も避難しなければならない状況に有ったとは。本当に今の今まで知らなかった。
この本は、その最悪な事態を回避してくれた方々の、自分の命、仲間の命、家族等を投げ打って、それこそ決死の覚悟で立ち向かった姿がとてもよくわかる物だった。
解説にも書いてあったが、この事故の記録は数多くあるけれど、その殆どはとても解りづらく、読みにくい物で、本来書物という物は、いかに知らないや未来の人に伝えるか、という物なので、わかりやすい方が良い、当たり前だけど。
この本はわかりやすかった。原発の事を知らない自分も良くわかったし、大企業の緊急時における対応や、政府筋の対応など、本当にわかりやすかった。
自分がもしあそこに居たら、何もできなかったろうし、いち早く避難していたと思う。まあ、その時の立場や経験やらでその状況にならないと判らないとは思うが。
1番感動した所は、いよいよダメだと判断して、必要最小限の人数だけ残って、後は後方へ避難という時、若い人達が責任を感じ自分達も残ると言った時の、安全担当の言葉。
とにかく、自分には糧になった本であった。