7/20 高校事変 完読


舞台が武蔵小杉と言う事で購入。背表紙の説明では、学校に総理大臣が訪問することになり、たまたま、そこにテロ集団が集まって、事変勃発。この事変の解決に女子高生が活躍するといった内容が書かれていた。
ほとんど期待もせず読み始めたが、とんでもなく面白かった。
ほぼダイハードの世界ではあるが、ブルースウィルスの様なイカツイおっさんではなく、1人の女子高生が、テロ集団と対峙し、その際の武器はほとんど学校の中にあるものを利用しバッタバッタと敵を倒していく様は、こ気味良い。今流行りの、最強美少女。読んでいくうちに、エヴァのレイを思い出した。
ただ、その時の修羅場の表現は、映画やテレビでは現せない悲惨なもので、実際の戦場ってこんな感じなんだろうと思うぐらい、簡潔に凄惨に描写されていて、真実味が湧いてくる。
何らかの事件に巻き込まれたとき、自分がヒーローになれるかもなんて、平時ではいくらでも夢見られるけと、この小説を読む限りでは、自分は一番に死んでいくか、泣き喚き、怯えてうずくまっているだけなんだろうと思ってしまった。
さて、この女子高生なんでこんなに強いのかと言うと、父親が半グレ集団のトップで、未曾有の事件を起こして既に死刑で亡くなっているのであるが、その父親に幼児の頃から叩き上げられ、育ったから。好んで覚えた物でなく、自然に身に付いていないと、ああも瞬時に思い付かないし、行動出来ないはず。それを考えると、とてつもなくスパルタで叩き込まれている姿を想像してしまう。文章上では一切その頃の描写は無いのだが、もし映像化されたら必ず要所要所で挿入される場面だろう。
こんな育ちの子供だから、当然社会は好んで受け入れるはずもなく、本人もその事は宿命の様に感じているため、目立たない様、ひっそりと暮らしていたのではあるが、秘密が漏れないはずはなく、そうなると、集団いじめが発生する。尚且つ、今回のテロの関係者とも疑われ、そんな中でも、学校関係者が少しでも殺されない様奮闘する様は、一般的なヒーロー物とは大きな差があり、世の中の構造とか考えさせられる。
もう一つ。名前が個性的でとても興味を持った。