5/2 忠臣蔵(下) 完読


やっと下巻読めた。やっぱり面白い。正直な所、人物とエピソードが一致していないが、それでも、読みごたえあった。映画とかだと、討ち入り前の別れのシーンから討ち入り後の行進までが、重きを置いているが、この本は、その後の始末までキッチリ書かれており、単なる刃傷、又は人情物では無く、この事件に関連した表には出ない、政治家達の興亡があった事がよくわかった。
また、吉良イクォール悪、浅野イクォール善の勧善懲悪物と思っていたが、最後まで読んでいくと、吉良方の方が被害者だったことかよくわかった。浅野内匠頭吉良上野介の意地悪に耐えかねての刃傷から始まった事で、どんなに酷かったのかわからないが、ただ意地悪しただけで、斬り付けられ、数年後に寝込みを襲撃されて、首切られたあげく、その時は被害者なのに喧嘩両成敗で、お家断絶させられたのだから、たまっもんでは無いだろう。
そういう意味では、お上の裁量の曖昧さが引き起こした事件という事になる。なんとなれば、最初の刃傷の時に、喧嘩両成敗としていれば、討ち入りなど無かったのだから。
とは言え、武士が必要無くなってきた元禄の世で、武士が生き残る様が痛い程わかるのは、この事件のお陰だろう。書物として残してくれた過去の文人達に感謝。
後、内蔵助の生き様、討ち入り前迄のうつけ振りは敵を欺く為の芝居で、苦しい思いをしながらの振る舞いだった、と書物、メディアでは言われているのが多いが、実は、敵討ちなどどうでも良く、できるのであれば、放蕩暮らしを続けたかったのでは、とこの本に書かれていたが、そっちの方が、真実の様な気がする。また、どうしても敵討ちをしなければならないなら、たかが吉良の首一つだけで無く、その上の本家である、上杉を引きずり込み、ひいては、お上までを敵にとっての大立ち回りして、大石の名を残したいが為の大芝居、自分の為に起こした敵討ちだったのでは無いか、という説にも大いに頷いた。
何にせよ、大変面白く、為になった本であった。